

さて、われわれの何の刺激もない退屈な日常生活に突如出現した、女性専用車両。
押し合いへし合いを繰り返し、
心底ヘトヘトになりながら、
それでも生活のため、会社のために泣く泣く耐えてきた
通勤電車の中に、突如「女の園」が出現したのだから、
それはまさに世紀の大事件だった。
その女性専用車両の魅力を最大限引き出してくれる場所。 それは意外にも、一般車両と女性専用車両の連結部。 それはまさに男性と女性をつなぐ連結部のようなもの。 男性にとっては、決して破れないバリアのようなものだが、 そこが逆にいじらしくてたまらない。 連結部のドアの小さな小窓からほのかに眺める女性たちの日常。 そこは男性がひとりもいない「女の園」だけに、 「女の園」ならではの「女の日常」がある。

ところで、一般的に女性専用車両にはある一定の「導入時間帯」というものがあり、
その「導入時間帯」以外は「一般車両」として使用される。
実はそこが狙い目なのだ。
例えば、「導入時間帯」が終わった直後の女性専用車両に乗り込んで見る。
「導入時間帯」が終わった直後なので、まだ、ところどころに女性専用車両の雰囲気が残っている。
そこがたまらなくいい。
女たちが残した「におい」や「目に見えない魂のようなもの」が
われわれの体の中にスーッと入ってきて、
体の中の何かと化学反応を起こして、
心の奥底からわれわれを「キューッ」とさせるのである。