
「季節の変わり目は風邪をひきやすい。」
ごく日常的に繰り返されるこの言葉にあなたは一度でも疑問を持ったことはあるだろうか?
よく考えたら、ちゃんちゃら可笑しい話なのである。
われわれ文明人は「服」というすばらしい防寒機能を持っているのに、温度差が激しい季節の変わり目には
当たり前のように風邪をひくという凡ミスを繰り返しているという顛末。
そこには高度に知能が発達したはずの人間のアホ臭いドラマが隠されているに違いない。

温度差の激しい季節の変わり目。
確かにこの時期は、いったい何を着ればいいのかの判断は難しい。
ひとつ判断を間違えれば、風邪をひく可能性が高まるからだ。
しかし呆れたことに、この最も重要な判断を「カレンダーの暦」に委ねてしまうバカヤローたちがいる。
「今日は『立秋』だから秋の装いをしなきゃ」とか「まだ、10月だからコートは早いね。」とか
意味のわからないことを散々並べ立てた挙句に寒さに耐え切れなくって風邪をひく。
まったく馬鹿としか言いようがないのである。
寒いか寒くないかを自分で判断できないのだろうか。

例えば、ごくたまに真夏でもダウンジャケットを着ている人がいる。
そして、この世のほとんどの人が、その人物を当たり前のように奇異なまなざしで見つめる。
しかし、である。
その真夏でもダウンジャケットを着ている人物は実は周到な計算のもとに、
ダウンジャケットを着用している。
考えても見るがいい。
高度に発達した都市空間においては
建物の外にいることより、冷房がガンガン効いた建物内部にいることの方が圧倒的に多い。
となると、連日30℃を超える外の気温とは裏腹に建物内部は
まるで冬のように寒いのである。
実は、都市空間においては夏は寒く、冬は暑いという
夏と冬の逆転現象が現実に起きているのだ。

また、「カレンダーの暦」と同じような意味合いで、
寒いか寒くないかの判断をなぜかエアコンに付いている「温度計」に委ねてしまうバカヤローたちがいる。
エアコンの温度計が「30℃」を示していたら、
「あ、やばい、暑いね。温度下げなきゃ。」といった具合である。
エアコンの温度計はあくまでエアコンの周囲の温度を計測しているだけであって、
必ずしも部屋全体の温度を指し示してはいないのに、
それをはなから信じてしまって、
その結果、寒さに耐え切れなくなって風邪をひいてしまう。
寒いか寒くないかを自分で判断できないのだろうか。

また、「わたしは暑がりなんで、暑いのが嫌いなんです。」と言って、
寒いのに薄着をして、その結果寒さに耐え切れず風邪をひくバカヤローたちもいる。
いくら「暑がり」と言っても、
現実問題として風邪をひいているわけだから、
実際はやはり「寒かった」のである。
現代社会においては、こういった自分が寒いのか寒くないのかを判断できない、
あるいは麻痺しているバカヤローが急増している。
基本的には寒いよりは暑いほうがいいに決まっているのである。 なぜなら、暑いなら上着を脱げば済むからである。
